「やさしさ」とか「思いやり」を隠れ蓑とした無責任な発言


数日前、関東圏で福島第一原発からの放射能の影響が心配され始めた頃の話題。
知人の整体師さんのブログ(からだにプラス:正確な情報収集&分析と冷静な判断)と、自分も正に同じような問答を体験していて、何ともいえない気持ちになったのでその話題を書いておく。


西日本に住む母から
「関東で放射性物質が普段より多いとか。微量とはいっても浴びない方が良い。マスクはしている?」
というメールが来た。
いやもう、上述の整体師さんのところの状況と一緒。
その当時、通常の10倍というニュースが流れていたのだが、この○○倍というフレーズにだけ反応した発言だったようで何とも唖然。人体に決定的な影響があるかどうかということは二の次らしい。


しょうがないので、

  • 私が住んでいる横浜市では実測値をホームページで公表している。横浜市の放射線量の測定値 ←とはいっても3時間毎の更新だそうなので準リアルタイムですけどね。
  • 人体に影響のある放射線量には程遠い(航空機や医療や温泉との比較値を例に挙げて)。

ということを伝えて(無理やり?)納得して貰いましたが、こういう発言が飛び交っている状況なのかと思うと何ともやり切れない気持ちになります。


「普通と違う」という言葉だけに反応してしまう人もいるのだな〜と、空恐ろしく感じた瞬間でした。こういう大事な事柄では、根拠や結論に至るまでの過程を確認する癖をつけて欲しいものです。


とはいえこのように偉そうなことが言えるのは、さまざまな比較検討の情報ソースにアクセスできる立場に居るからこそ。もし被災地で通信もままならない中で、母からの言葉を聞いたとしたら、明確な反論基準は示せませんから(普通の人は、放射線量が通常の何倍から人体に影響するのかなんて暗記していませんよね)感覚的には大丈夫な値だろうと思いながらも漠然とした不安を抱えながら生活することになっていたと思います。
このようなことからも根拠を欠く不用意な発言は、たとえそれが所謂「やさしさ」や「思いやり」に端を発した言葉だとしても言ってほしくないと私は思うわけです。むしろ言っている本人が無邪気な分、罪は重いかもしれない。まぁ、こういう物言いをするのは単なるジェネレーションギャップなのかも知れませんけれども。


最後に福島第一原発の状況について読みやすい記事を一つ紹介しておきます。

3/18の電気新聞 緊急寄稿
石川 迪夫氏 (日本原子力技術協会最高顧問)
http://www.shimbun.denki.or.jp/news/special/20110318_01.html